アパート経営の初期費用はいくら?建築費相場や自己資金のバランスについて解説
安定した収入が得られるほかに、相続税対策になるなどメリットが大きいアパート経営ですが、「実際にアパート経営を始めるには初期費用はいくら必要?」という疑問を持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実は、アパートの初期費用は様々な要因で変動するため、地域の賃貸需要や収益性などのバランスを考えながら進めていくことが重要です。
今回は、アパート経営の初期費用や建築費相場・自己資金のバランスなどのについて紹介します。
このコラムのポイント |
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Contents
アパート経営の初期費用の内訳と相場
まずは、アパートの経営にはどのような初期費用があるのか、また、相場はどの程度なのかを知ることが重要です。
ここでは、下記の通り、アパート経営の初期費用の内訳と相場について解説します。
土地購入費用
アパートの土地取得費用は、エリアや立地条件によって大きく変動するため、一概には言えません。
ただし、安定した経営を目指すのであれば、利便性や環境の良い土地を選ぶことで入居率を高めることができます。
しかしながら、当然ですが、条件の良い土地はある程度の費用がかかることを想定しなければなりません。
このように、アパートの経営は条件の良い土地を購入することが必須となるので、アパート経営の初期費用としては土地購入費用も大きなウエイトを占めます。
逆に言えば、相続などですでに土地を持っている場合には、土地購入費用がかからないので、経営の成功率が高くなり有利に進めることができるでしょう。
アパート建築費
アパート経営の初期費用のうち、建築費が大部分を占め、一般的には総費用の7割前後と言われています。
そして、アパートの建築費の相場は、下記の通りとなります。
アパートの建築費の相場(坪単価) | |
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木造 | 約66万円 |
鉄骨造 | 約95万円 |
※政府統計ポータルサイトe-Stat「2023年建築着工統計調査」を基に弊社計算
例えば、延床面積200㎡(約60坪)のアパートを新築する場合、木造なら3,960万円、鉄骨造であれば5,700万円がアパート建築費の相場となります。
ただし、上記はあくまで平均データからの推測なので、建築会社や仕様によって建築費は変動することに注意が必要です。
もちろん、工夫することによって上記の相場よりもローコストにすることは可能ですが、2025年4月から「省エネ基準適合」が義務化されます。
これにより、アパートの新築も下記の省エネ基準に適合することが義務付けられます。
- 外皮基準の熱の損失量を基準値以下にすること
- 一次エネルギー消費量を基準値以下にすること
簡単に言えば、今後はアパートにも省エネ性能の高い住宅にする義務が課されるので断熱性能の高い建材を使用し、高効率な設備(冷暖房・給湯設備)の導入が必要となるケースが多くなるでしょう。
他にも、建築材料の相場が上がっていることなどの時勢も考慮すると、今後アパートの建築費は増加傾向にあることは間違いないでしょう。
最後に、アパートの建築費について、設計費用が本体工事費に含まれるケースと別発注になる場合があります。
工務店が自社内で設計に対応できない場合やデザイン性にこだわりたい場合には、設計事務所などに別発注することになり費用が多めにかかるケースもあります。
そして、設計料は自社で設計する場合は建築費の3%~5%前後、外注する場合には10%~20%前後になることが多いです。
したがって、できれば自社で設計と施工を完結できる工務店を選ぶことで、建築コストを軽減することができるでしょう。
付帯工事費
付帯工事費とは、アパート本体以外にかかる工事費用のことです。
具体的には、下記のような費用のことで、一般的には総費用の20%前後と言われています
- 測量費用
- 地盤改良
- 電気水道ガスの引き込み~接続工事
- 照明器具・エアコンの設置
- 外構工事
- 仮設工事
これらの工事費は、土地や建物状況によっても変動します。
例えば、土地の形状により、電気水道ガスなどのライフラインの引き込み距離が長いと費用が増えることもあります。
このように、建築会社や依頼先、アパートの仕様などによっても上記の費用は変動しますので、事前に確認する必要があるでしょう。
諸費用
諸費用とは、アパートを建築するために必要な工事費以外の費用のことです。
諸費用は、総費用の10%前後かかることが多いと言われていて、下記のようなものがあります。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 建築確認申請等の手数料
- 司法書士報酬
- 火災保険料/地震保険料
- ローンの手数料
- 水道利用加入金
- 地鎮祭の費用
一つひとつの額は大きくありませんが、一般的に諸費用はローンに含めることができず、自己資金が必要となる場合が多いのでしっかりと把握しておきましょう。
例えば、司法書士報酬など依頼先によって費用が変わるものもあれば、不動産取得税のように完成後しばらく経ってから支払いが発生するものもあるので注意が必要です。
アパート初期費用の自己資金はいくら必要?
アパート経営に必要な自己資金は、初期費用の10%~30%が目安です。
ローン審査が通ればフルローンも可能ですが、返済額が大きくなるため経営が圧迫され、突発的な出費に対応できないなどのリスクが高まります。
ただし、自己資金を増やし過ぎても手持ち資金が少なくなることで運転資金が足りなくなる恐れもあります。
したがって、アパート経営に必要な維持管理費用を踏まえて、自己資金とローン借入額のバランスを考える必要があります。
そのためにも、アパート経営の維持管理費用について事前に知っておく必要があるでしょう。
そこで、次の章からはアパート経営の維持管理費用について解説します。
アパート経営の維持管理費用
アパート経営には維持管理費用や修繕費用が発生します。
したがって、ある程度の運転資金を用意し、家賃収入から積み立てていく必要があります。
そのためにも、毎月必ず発生する維持管理費用と定期的に発生する修繕費用も事前に把握して、経営計画を立てることが大切です。
維持管理費用
アパート経営の維持管理費用は下記の通りです。
- 共用部分の光熱費
- 管理委託費用
- インターネット回線使用料
- 固定資産税
共用部分の光熱費や管理委託費用は、毎月発生します。
管理費は家賃の5%が相場ですが、建物の清掃管理、家賃回収や客付けなどどこに依頼するかによって費用が変動します。
毎月発生する費用は安く抑えたいところですが、建物の清掃状況などは入居率にも影響しますので、信頼できる管理会社を選ぶ必要があります。
また、毎年発生する費用として固定資産税もあることを忘れないようにしましょう。
最後に、人気のインターネット回線付きのアパートにするなどのアイデアは、アパートの入居率を高める効果がありますが、毎月の使用料金が発生しますので、費用対効果を考えながら検討することが必要です。
修繕費用
アパートの経営には、定期的に下記のような修繕費が発生します。
- 外壁屋根塗装/防水工事
- エアコンや給湯器などの設備交換
- 水回り設備の交換
- 退去後の原状回復費用
修繕費には、共用部分全体の修繕費と部屋ごとに発生する修繕費があります。
特に、大きな金額となるのは外壁屋根塗装や防水工事などの大規模な修繕工事です。
建物は経年劣化により、都度修繕の必要が出てきます。
そして、実際に外壁塗装や屋根の塗装・防水工事を実施する際には、足場が必要な工事になりますので高額になりがちです。
このような、大規模修繕工事費を計画的に積み立てておかないと、いざという時に必要な工事ができないというような事態になりかねません。
そして、必要な修繕ができなければ、アパートの資産価値は下落し、入居率も下がることが想定されます。
また、一般的な建物の賃貸借契約においては、各部屋の水回り、エアコンや給湯器などの修繕費、退去後の室内の清掃費用などは貸主の負担となります。
つまり、通常の使用に伴う諸々の修繕費は貸主負担となることに注意が必要です。
とは言え、一般常識的に通常の使用とは言えないようなものに関しては、借主に請求できるケースもあるので、
契約時にペットの飼育の有無やタバコの汚損の費用負担の範囲などを契約書に記載しておくことで不要なトラブルを回避することができるでしょう。
このように、アパート経営には、維持管理費用の他に修繕費も発生します。
そして、アパート経営においては同時に入居率も上げていかなければ、上記の費用を捻出できなくなりますので注意しましょう。
下記の記事では、差別化できるアパート経営方法などを紹介していますので、ぜひごらんください。
>土地活用|面白い方法&差別化できるアパート経営の方法14選|デメリットや選び方も
アパート経営はローン返済計画も重要
アパート経営には、ローンの返済計画も重要です。
ここまで解説してきた通り、アパート経営には初期費用と維持管理費用が発生しますので、運転資金を踏まえて無理のない返済計画を立てることが重要です。
ここでは、アパート経営のローン返済計画のポイントについて解説します。
アパート建築に住宅ローンは使えない
住宅ローンは居住用に限られるので、アパートには使えないことに注意が必要です。
したがって、アパートローンや不動産投資ローンなどを組むことになりますが、アパートローンは、収益性や担保価値も審査されるため、住宅ローンよりハードルが高く、金利も高い傾向があります。
アパートローンの金利相場
アパートローンの金利相場は、利用する金融機関、収入、アパートの収益性などにより変動しますが、概ね1%~5%が相場です。
できることなら、金利の低い金融機関を利用したいところですが、金利が低い金融機関は審査のハードルが高いですし、金融機関によっては対象エリアが限定されることもあります。
ただし、新築アパートは、建物の資産価値が高く、事業性も高いとみなされることで事業用の融資としては金利は低く設定される傾向があります。
金融機関は数多くありますが、日本政策金融公庫は、固定金利で金利も低めに設定されているため、検討する方も多いようです。
ただし、不動産賃貸業として融資を受けることとなり、審査が厳しく、融資限度額が低い、返済期間が短いなどの注意点もありますので、初期費用と自己資金のバランスを考えて検討しましょう。
アパートローンの返済期間
アパートローンの返済期間は、建物の構造ごとに定められている法定耐用年数に応じて返済期間の上限が定められるのが一般的です。
下記の表は、建物の法定耐用年数の一覧となりますので、参考にしてください。
建物の構造 | 法定耐用年数 |
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木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
上記の通り、アパートローンの返済期間は概ね20~30年前後が相場です。
返済期間を決める際は、返済比率50%を目安に考えるのが一般的です。
仮に、家賃収入が100万円であれば、毎月の返済額50万円以内になるように返済期間を調整することがポイントです。
このように、アパート経営はローン返済計画も重要です。
初期費用、維持管理費用、修繕費用などの費用も考慮しながら、無理のない返済計画を立てることで、アパート経営で長期的な収入が見込めるようになるでしょう。
下記の記事では、新築アパート投資のメリット・デメリットなどを紹介していますので、参考にしてみてください。
まとめ
アパート経営は、大きな初期費用がかかるため、リスクも把握して綿密な経営計画を立てる必要があります。
また、初期費用は建物の規模やコンセプトによって大きく変動するため、地域の賃貸需要や家賃相場なども踏まえて決めるようにしましょう。
そして、これからアパート経営を始めるのであれば、地域の実績が豊富な不動産会社や専門家に相談することがおすすめです。
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